代表 田村文生より


新作初演、海外作品の紹介で毎年好評を頂いておりますEnsembleContemporary α公演、本年は、そのような趣旨を維持しつつ、アンサンブル形態として少し変わった方向・次元へ指向するものとなりました。
音楽の分野での、コンピューターを援用した作曲、演奏、教育などの普及は、しばしばその機能的、技術的側面、或いはシステム自体が強調される一方、同時に「作品」という概念とその意味、評価を全く異なった地平へ向かわせている、という観があります。我々はこれまでも時折、電子的メディアを伴った作品を演奏会にプログラミングしてきましたが、その選択・評価の基準は、作品に投影された作家の美学でした。今回は、そのような最も根源的なものを維持しつつも、「器楽」あるいは「器楽の様態」の一部としての電子的プロセスを伴った作品で全てのプログラムを構成しました。「楽器」であると同時に「システム」でもある<instrument(道具)>を用いて、どのように伝統と距離を保ちながら作品を構成してゆくか、という問いに対する作曲家それぞれの見解が垣間見えるのではないかと思います。
このような演奏会は、もはや「見た目」としては決して新奇なものではありませんが、演奏団体の公演が全曲エレクトロニクス作品で構成されるという例は、非常に稀なのではないかと思います。選曲、演奏共に、自信を持ってお勧めできると確信しております。

公演プロデューサー 
大村久美子 より


新今回の公演では、当団体初めての電子音楽特集を組みました。
私たちの日常に溢れる電化製品の電子音や、CDプレーヤーから流れるデジタル処理を施された音など、人間の“音”の聴取、あるいは私たちの“音楽”の概念は、ここ数十年の間の社会生活におけるメディアの発達に伴い、変化を余儀なくされてきました。
けれども、ここで私はそのような変化を批判するつもりでもなければ礼賛するつもりもありません。
多くの人々がメールやインターネットを使い、コンピューターというものがもはや特殊な物ではなくなった今、それらとどうつきあっていくか、また音楽においてどのような役割を果たしうるのかを考えていきたいと思っています。
公演サブタイトルは、リンドベルイ作品のタイトルである“UR”(スウェーデン語、独語において原始的な、オリジナルの、などの意味)にちなんでおり、電子的なメディアを伴った作品でありつつも、技術のみではなく根源的な音楽の表現を持つ、あるいは自己の内部の原音響に耳を傾けながら作曲された作品を選びました。
リンドベルイ作品は、その電子音響パートに高度な技術を要することから今まで日本での演奏は見送られていましたが、今回、日本初演に挑みます。フランスの若手ドルアンによる作品は、そのタイトルのとおり、楽器の様々な奏法とリアルタイム音響処理による歯切れの良い音響がユニークな音楽であり、アメリカ人リッピの作品では、ただ一つのハイハット・シンバルから驚くほど多様な響きが導き出されています。
作曲メンバーからは、木ノ脇道元氏とのコラボレーションにより電子音響を伴う作品を生み出している米倉の新作、パリのIrcam(音響・音楽の探求と調整の研究所)で研修を積んだ鈴木純明の独特の音楽の歩調を持つ作品、同じくIrcam研修後も器楽とエレクトロニクスの関係を模索して作品を書き続ける大村の新作が演奏されます。
公募招待作品は、作曲家でプログラマーでもある松田周による、その技術を駆使したリアルタイムで音響と映像が生み出される意欲作です。
このように今回の公演では、技術と音楽表現の両面において、当団体の新たな展開を目指しています。この貴重な機会をお聴き逃しのないよう、メンバー一同心からご来場をお待ちしております。


日時
2004年12月2日(木)19:00開演 (18:30開場)

場所
すみだトリフォニーホール・小ホール
JR総武線・錦糸町駅 ・北口・東京メトロ半蔵門線3番出口から徒歩3分。駅前広場から道路沿いに左方向

入場料
全席指定 \3500(当日) \3000(前売)
学生割引=\1500(事務局前売りのみ)

CNプレイガイド 03-5802-9999
(下記事務局でもお取り扱い致します)

*今回は前後左右にスピーカーを配置しますので、
中央の座席をご希望の方はお早めにお申し込み下さい。

お問い合わせ
Ensemble Contemporary α 事務局

助成
財団法人 ローム ミュージック ファンデーション,
芸術文化振興基金
サントリー音楽財団推薦コンサート

松田周 / Force Feedback (2001/2003) *公募招待作品

Fl : 木ノ脇道元 + Live Electronics + 映像

鈴木純明 / 透かしの囲いII
(2004/ライヴエレクトロニクス版世界初演)

Cl : 鈴木生子(賛助出演) Vn : 花田和加子 Vc : 松本卓以
Pf : 及川夕美 Cond : 夏田昌和 + Live Electronics

ジョフロワ・ドルアン / Crispy Grain (2003/日本初演)

Trp : 曽我部清典 + Live Electronics

米倉香織 / 昨日の歌 (2004/世界初演)

Fl : 木ノ脇道元 Bsn : 塚原里江 Trbn : 池上亘
Vn : 花田和加子 + Tape

コート・リッピ / Music for Hi-Hat and Computer
(1998/日本初演)

Hi-Hat : 神田佳子 + Live Electronics

大村久美子 / 分水嶺 (2004/世界初演)

Hi-Hat : 神田佳子 + Live Electronics

マグヌス・リンドベルイ / Ur
(1986/ライヴエレクトロニクス版 日本初演)

Cl : 鈴木生子(賛助出演) Vn : 佐藤まどか Vc : 岩永知樹
Cb : 溝入敬三(賛助出演) Pf : 及川夕美 
Cond : 夏田昌和 + Live Electronics

電子音響スタッフ:松宮圭太

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